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ファイナンシャルマガジン米田隆インタビュー
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税調レポートが明らかにする日本の変化

−ご著書『最強の「個人資産」形成術』では、まず日本社会の構造変化について書かれています。あらためてお伺いいたしますが、日本は今後どのように変化していくのでしょうか。

著書にもありますが、日本社会という大きな枠組みが変化していく方向を探るために、2004年に政府税制調査会基礎問題小委員会が発表した税調リポートを用いています。日本全体を俯瞰し、我が国の経済構造変化の実像を見る上で基礎となるもので、日本で最有力のシンクタンクともいえる中央官庁における審議内容をまとめたリポートです。

今後、社会がどのように設計され、どこへ向かうのかを考えるためには、どういう基礎的な議論を行われたかを踏まえておく必要があります。 この税調リポートによると、今の日本の人口は1億2700万人で、過去100年間で8400万人増えています。ところが中位推計では21世紀中に6300万人減少し、総人口は6400万に半減すると予測されています。半減です。

しかも、現実は予想以上に悪い。数字も悪化しているし、減少のポイントも手前にきています。予想では人口減少に転じるのは2007年でしたが、2005年には総人口が減少に転じました。また、総世帯数も2015年から減少に転じ、世帯の中身も夫婦と単身というグループが占める割合が50〜53%になると予想されています。さらに、経済成長率は、高度成長時代10%ぐらいあったものが、2〜2.5%と高度成長時代に比べ4分の1ぐらいに落ちています。

これまでの方法では問題を解決できない

これは何を意味するのかというと、現在の日本は、これまでのような問題解決手法が有効でなくなったということです。日本では、人生の三大財務問題である「教育」「住宅」「老後」を、年功序列と終身雇用がセットになった報酬体系のもとで定年まで働いてインカム(所得)を得ることでカバーしてきました。しかし、この報酬体系が成り立つための唯一の前提となるのは、人口ボーナスと経済成長です。それがともに剥落してしまったんです。

さらに、平均余命年数が医療の発達でさらに伸びます。しかし、年金は給付開始年齢が65歳に順次延長されることで実質目減りすることが決まったことに加え、マクロ経済スライドが導入されることになりました。私は、年金がインフレにインデックスしないことの方が大きな問題だと思います。インフレ率5%になっても、年金支給額は5%以下にしかなりません。

介護や医療の費用はインフレにリンクしていくし、消費税だってインフレにインデックスしてどんどん高くなっていく中で、リンクしないのは自分の貰う年金収入だけなんですから。これでは、死ぬまで働き続けない限り、生きていけません。しかし、企業にいる場合は定年退職という制度的な問題があります。定年は雇用延長されても65歳までですが、今後我々は95歳や100歳までも生きてしまいます。生涯現役を目指すなら、個人の価値を十分に高め、健康寿命を伸ばしておく必要はあるでしょう。

厳しい変化に対応する能力を

日本経済は厳しい変化にさらされていますね。その中で、私たちはどうしたらいいのでしょうか。

まず、人生にはコントロールできる要素とコントロールできない要素があり、両者の違いを知るというのが知恵です。変化はコントロールできませんので、止めようとするのは無駄なことです。

しかし、コントロールできる要素もあります。何かというと、変化への対応能力を高めることです。 すでに企業は変化への対応能力を高めるための行動をとっています。正規人員の削減などによる固定費のコントロールや組織のフラット化です。また、全体の40%の企業が成果主義賃金を導入しました。

ところが企業が財務体質を大きく変化させたのに対し、その中の従業員は未だに過去の中に生きている。取り残されているんです。親や先輩の後姿を見ていて、働き続ければ個人のお金の問題も自動的に解決できると思っていますが、状況はすでに大きく変わっています。こうした社会の構造的変化に焦点を当てない限り、日本人の金融行動は変わりません。

たとえば、日本における生命保険の世帯普及率は89%です。GNP1人あたりにすると、契約数は先進国の2.5倍ほどになります。なぜ、日本人はファイナンシャル・リスクのマネジメントとして、生命保険を中心に据えてきたのかわかりますか?

それは人的資本が大きかったためです。つまり、人口ボーナスと経済成長率を背景に、終身雇用と年功序列がワンセットになった賃金体系があり、人生における経済的なリスクは唯一、定年まで働けないことだったからなのです。

しかし、ここにきて経済成長は鈍化し、所得の二極化や不確実性が高まっています。8割の人は35歳を過ぎたら実質賃金がもう上がりませんが、余生の長い世界に入っています。所得の負け組みになったから老後を含め生活資金を何とかしてくれと言っても、生命保険ではカバーしきれないのです。

新しい時代に入っていることに気付かない人々

変化に気付いていない人は、多いのでしょうか?

ほとんどでしょうね。その証拠に、今日こんなに金利が低いにもかかわらず、個人の金融資産の51%も預金でおかれています。まだまだ、新しい時代に入っていることに十分な知識がないからです。また、新しい時代が来ていることを感じていても、どうしていいかわからない人たちもいます。自分のアクションに落とし込めるほど明確にはわかっていないようです。この2つのハードルを如何に越えるかということも、今日的な課題になっています。

役職定年という言葉を耳にする機会も、多くなっていますが……

私は終身雇用制度は維持されると思っています。しかし、終身雇用に年功序列賃金がセットされるということがないでしょう。役職定年については、今まで聞いたことがあっても、自分が45歳になってはじめて、これがリアリティかと思うわけです。 ちなみに今、大企業が口にしたくない一番の問題は、バブル採用時の人たちにポストがないということです。今、バブル期採用の人たちは40歳前後に並んでおり、その前後の時期に採用された人に比べると、同世代の人間の数が圧倒的に多いです。

しかも、企業は変化への抵抗能力を高めるために組織のフラット化をして、ポスト減らしています。だから、ないに決まってるじゃないですか。本当はいち早く、あなたたち財務自立もキャリア自律を実現するライフスタイルを人生の早い時期から身につけなさいねって言ってあげることが必要だと思います。そうすれば、お金の準備も心の準備もできるわけですね。それが、45歳ぐらいになっていきなり言われるわけです。「時間を味方」につけられない年代になって、突然言われるのはあまりにも酷だと思います。
 
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1981年4月 早稲田大学法学部卒業後、(株)日本興業銀行入行。国際資金部(外国為替ディーリング)に配属。1983年6月、同行より米国フレッチャー法律外交大学院に企業派遣留学。(国際金融法務専攻)。

又、米国ハーヴァード大学ロースクール(証券取引法・国際資源開発法で単位取得)にも在籍。1985年8月、米国フレッチャー法律外交大学院修士号取得。帰国後、同行国際営業部第二部(在日外資系企業担当)に配属。本邦初のLBO(シモンズべッド)にSenior Loan担当者として携わる。

1988年2月、同行企業審査部において国内外のM&A案件審査、金融業界審査・審査業務に従事。1990年4月、同行プライベートバンキング推進部。海外不動産投資、海外事業継承・相続対策を担当。

1991年12月、(株)日本興業銀行退職後、国際経営コンサルティング会社(株)グローバル・リンク・アソシエイツ(GLA)を設立、代表取締役に就任。国際戦略提携、新規事業投資、リスクファイナンス、ベンチャービジネス等戦略的財務分野で幅広く講演・コンサルティング活動に従事。

1996年6月、(株)グローバル・ベンチャー・キャピタルを共同設立パートナーとして設立。アーリーステージのベンチャービジネスに特化したベンチャーキャピタルファンドを運営。同社取締役に就任。

1999年4月、LPLファイナンシャル・サービス株式会社(日本LPL)を設立、代表取締役社長に就任。1999年11月、同社の証券業登録を機にエル・ピー・エル日本証券株式会社に名称変更。