―簡単な自己紹介と会社概要をお願いします。
私の会社は、ボナ・ヴィータコーポレーションと言いまして大きく3つの柱があります。1つ目は、中小企業のコンサルティング(右腕.com)として、会計・財務、戦略、マーケティングなど大企業で言う本社機能のサポートです。
2つ目は、そうしたコンサルティングの一貫としての人材教育・研修事業です。
3つ目が執筆活動となっています。
以上の3つとは毛並みが異なる事業ですが、子ども向けに竹とんぼの教材のインターネット販売もしています。
MBAで言いますと、会計・財務、人事・組織、戦略・マーケティングと全く同じことを事業としているという形です。理論だけではなく、中小企業が差別化や生き残りのために、強さを紡ぎ出すためにどうすればいいのか、現場では何をできるのかという観点から、研修とコンサルティングをしています。その中の会計・財務の部分が本書であるという位置づけになっています。
今後は、会計の本数冊と、リーダシップの本を執筆する予定となっていますが、本書においても、これまでになかったような新しい勉強法を提示できたのではないかと思います。
―本書執筆の動機もそのようなところから来ているのでしょうか?
コンサルティングをする中で、業績の芳しくない会社もいくつかありました。その際は、金融機関の協力を仰いだり、リストラを実行していくわけですが、根本はバランス・シートの整理が悪いものを処理することにつきます。
よって、社長自身がバランス・シートを読めなければ、話にならないのですね。自己資本比率を上げようと言っても意味が通じないと対策も打てません。
さらに言えば、5000万円の利益があっても5000万円の現金があることを意味しないように、PLは現金の動きを表していないということをきちんと理解しておく必要もあります。
こうした仕組みを知ることが業務改善の大前提となるわけです。しかし、社長さんにこれから簿記を勉強してくださいと言っても時間的に厳しい場合が多い。そうした要請から、簿記を勉強せずに、会計的な発想を使いこなせるようになるものとして、私自身が実践の中で培ってきた本書のような理解法を提案したわけです。
―本書で最も伝えたいことは何でしょうか?
この本の特徴は財務3表のつながりに焦点を当てている点にあると思います。それによって、会計の基本的な仕組みを説明しています。日々の業務の中で出てくる伝票を簿記・仕分けのルールに従って帳簿に記載する。それが積み重なって決算書になっていくわけですので、これまでは「会計といえば簿記を勉強しなければならない」と言われていたわけです。
しかし、PL、BS、CSの作り方や仕組みが分かったからと言って、必ずしも会計の仕組みを理解するということにはつながらないのですね。一生懸命勉強したのに、結局分からなかったというのは、こうした点にあると思います。
本書で目指したのは、伝票を直接、財務3表に反映させることによって、会計の本質的な仕組みを理解してもらうということです。
―本書をどのように実践に活かしていくことができるでしょうか?
日本においては、ほとんどのサラリーマンがPLの世界に生きています。売上の責任、コスト削減の責任、それらを含めた利益の責任などです。PLの世界でいきている人達が財務3表を理解できるようになったからといって日々の生活ががらっと変わるということは難しいと思います。
ただ、会社にいる限り、決算書を見てくださいなど必ず財務3表の話は出てきます。その時に意味が分からない、話に加われないという状況を回避することができるようになっていきます。
もう1つは世界との格差を埋めるという意味があると思います。日本と世界のビジネスマンには胆力、人格、知識においてはさほど差がないといえますが、ファイナンスの分野に関しては圧倒的に開きがある。
欧米のビジネスエリートというのは、MBAを取得し20代後半から経営層として会社に入ります。小さい会社を任せられる機会も多く、経営という観点で能力を養っていきます。
日本の場合は、部長までは完全にPLの世界で完結します。その後、経営陣になった途端にBS、PL、CSに責任を持つようになるわけです。資金繰り、資金調達も含めた投資とリターンという世界に突然足を踏み入れることになります。昨日まで何も知らなかった世界に対して、今日から責任を担いなさいと言われても、躓いてしまうのが当然ですよね。
こうした欧米のビジネスエリートとの格差や、将来に備えた知識という意味に於いても、本書を学ぶ意義があるのではないかと考えています。
―國貞さんの本日までの自己投資についてお話ください。
達成すべき目標があって、それを実現するためにはどうすればいいのか。投資とリターンの関係で目標の落とし込みを行うというのは、欧米型の発想であると思っています。
野球選手など専門的な職種であればそうしたこともあり得ると思いますが、多くの場合こうした発想には、無理に目標を作るとか、ビジョンを持つという面があるように感じています。
将来どうなるか。自分にどこに才能があるのか。始める前から分からないのは当然だと思いますし、好きだからとやってみた仕事に幻滅することは少なくありません。
ですから、若い方に相談を受けたときは、「ご縁」を大切にし、目の前の仕事を一生懸命にやっていくことから始めてみる、ということをアドバイスしています。そうすると、周りの方が力を認めてくれ、自分の才能が最大限に発揮できる場所に導いてくれる。
私に、俳優業や作曲の依頼が来ないように、私にできること、私に望むことがあるから依頼が来るわけです。ですから、目標やビジョンというものが無かったとしても、一生懸命に頑張っていれば、自分が行くべき場に導いてくれる人が出てくると思っています。
私自身にも、5年後、10年後の目標というのはありません。分からないから面白い、というのが私のスタンスとなっています。今から5年後が分かってしまったら、この5年間の面白みが無くなるかなと思います。そうではなく、今携わっているこの仕事をもっと面白くするために、そして、同じ環境の中でより大きな成果を出すために学ぶ意義の方が大きいのではないでしょうか。
―これから夢や目標についてお話ください。
仕事を通して、リーダシップの研修を行ったり、会社組織のフォローをしている立場にあるわけですが、私は「会社」というものは、本来、人間が幸せになるためにあると思っています。
今は、顧客第一主義のもとで、従業員はしだいに勤務環境が悪化したり、家族との時間を取れなくなったりしていますが、こうした生活は人間本来の有り様ではないのではないでしょうか。非人間的な環境の中で、従業員の方は幸せと言えるのだろうか。私は常にこのような気持ちを持っていまして、携わらせていただく会社の従業員の方も含めた全ての方と共にある、業務を改善が1つの目標となっています。
―読者の方にメッセージをお願いします。
投資とリターンの世界で生きていくことは当然なのですが、その上で、人に与えるということが重要であると思います。自分だけで得ようとすると人もお金も逃げていく。論語とそろばんなど、日本固有の伝統である道徳と経済を分離しないという生き方が今後ますます大切になると思っています。ベストセラーを書く秘訣は?と聞かれたりしますが、その秘訣は、目の前の中小企業の社長さんにどういうアドバイスをすればいいのかという想いだけでした。与えることを意識する意義をぜひ考えてみてください。
―本日はありがとうございました。 |