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ファイナンシャルマガジンJFA 海外レポート「タイ編」

第6回目でございます。
そろそろ日本は秋の季節でしょうか。 タイでは良く雨が降っております。この時期を越えていくと乾季となり、日本人でも涼しいと感じることになる季節がきます。11月12月は徒歩の移動でも汗をそれほどかかなくても良いので観光には良いシーズンとなると思います。タイの王宮は面積が広く歩くとけっこうな距離になりますので、飲料水を購入して入るのが良いと思われます。外国人観光客も多く、いろいろな国から訪れています。(ただし、初めて海外に来た日本人観光客を騙すタイの人も多くいますので用心を。)

さて今回はタイのエネルギーの解説になります。少し前まではタイではひんぱんに停電が発生していました。洪水や雷によって電力供給のラインが止まり、地域によっては停電が発生し、瞬間的な停電を含めるとかなりの件数がバンコクや地方で発生していました。そのため電気が止まると致命的なパソコンや、電気で動く機械を持つ工場などでは自家発電装置を予備に備えている企業が多くありました。 最近はかなり改善されているようです。

そして国内経済が成長するとともに夜でも明々と電力を消費しているのがタイの現状です。


写真はルンピニー公園ナイトバザール

写真はラマ4世通りの夜の景色

日本では良く問題に挙げられる原子力発電所問題ですが、 タイでもその話題がかなり上がってきました。タイでの電力供給面では全設備における電力容量が2006年末時点で27107MW(前年比で2.6%増)と言う数字でした。最大電力では06年の5月に記録した21064MWとなっています。今後はこれが2007年から2021年までに新規必要電力量は,32000MWまで上昇するとされています。これらタイ国内の急増する電力需要に対応するために、新規電源開発が早急に必要とされていて多くの新規発電事業が計画されています。
※タイ・エネルギー省(Ministry of Energy)より

タイの発電における燃料別割合では原子力発電の割合はないために、シャム湾から産出される天然ガスからの火力発電の割合が非常に高い国になっています。(毎年およそ50〜60%)そして褐炭・石炭、石油、水力と続きます。

ちなみにその天然ガスはミャンマーからのも含まれています。今回ミャンマーでは軍事政権とデモのニュースが大きく取り上げられていますが、ミャンマーでは良質な天然ガスが採掘されるために、その天然ガスはタイの企業PTTエクスプロレーション(PTTEP)へ売却されています。ミャンマー軍事政府にとって重要な外資獲得の手段となっているのです。

  タイの電力供給ではこれらの発電全設備の容量60%をタイ発電公社Electricity Generating Authority of Thailand (EGAT)(※2005年度に資本を株式化しました。上場予定でしたが、現在は裁判所により上場計画を停止しています。)が占めています。タイの電力の配電、供給を一手に握る、日本では東京電力・関西電力などが一緒になったような大きな組織です。 その残り30%を独立発電公社IPP(Independent Power Producer)と呼ばれる独立系・民間系の発電業者が担当しています。これらの企業には民営分社化されたラチャブリ・エレクトリシティー・ジェネレーティング(RATCH) エレクトリシティー・ジェネレーティング(EGCO) グロー(GLOW)などの企業が含まれます。 8%を小規模発電事業者SPPが占める計算となります。

EGATによる2015年までの電源開発計画(2004年作成)では、今後GDP成長が6.5%程度の穏やかな経済成長前提とした将来予測で計算された電力需要伸び率は2009〜2013年までは6.9%で推移2014〜2015年までは6.5%の増加を予測しています。

ところがタイの世論は発電所建設に対して地元市民の反対が大きく盛り上がっています。

タイ・エネルギー省では世界的な原油価格の高騰から国産の天然ガス、石炭、再生エネルギーの利用等も考えていますが、タイ国内の世論では石炭火力発電も原子力発電も反対する意見が多くを占めています。

石炭の発電所ではタイの場合,1990年初めの激しい大気汚染がタイの国民の記憶にあり、石炭火力発電のイメージは相当悪いものになっています。ただ、石炭火力発電の環境技術と汚染に対する浄化システム装置は環境レベルをクリアできているものの、まだ住民へ理解・周知されていないのが現状です。そのため、石油化学最大手IRPCは9月、タイの東南部ラヨン県に計画していた石炭火力発電所の建設を中止すると発表しました。こちらのプロジェクトはエネルギー省の独立発電事業者(IPP)向け入札に備えて計画したのですがが、ラヨーン県の地元住民が強い反発を受けて計画を撤回しています。これまでは住民が反対しても、建設計画続行を主張していたIRPC社ですが方針を変更して、地元の住民感情に配慮すると表明しています。

原子力発電ではタイのエネルギー政策委員会は9月、タイでは初の原子力発電所建設を盛り込んだ2007−21年の電力開発計画(PDP2007)を原則承認したことを発表しています。タイ国内の総発電容量をこの期間中に合計2万5000メガワット拡大する計画で、その内訳で1万8200メガワットを天然ガス火力発電、2800メガワットを石炭火力発電、4000メガワットを原子力発電で補うとしています。これまでの化石燃料への依存度(ほとんど天然ガス)を引き下げるため、専門家による具体的な原子力発電計画作成が必要との認識を示しました。

これを引き受ける側のタイ発電公団(EGAT)は、原子力発電所2基の建設におよそ60億米ドル(約1,940億バーツ)の試算を出しています。EGATのクライシー総裁によれば2007〜21年の電力開発計画(PDP2007)に基づき、EGATは2,000 メガワット(MW)の原発2基の建設を検討中。ともに6年の建設期間を予定し、着工は14 年以降となる試案を検討中です。

他アセアン各国でもインドネシアなどが先行して、原子力発電計画を推進していて、タイはこのまま反対運動が続けば電力エネルギー分野において遅れを取る可能性があります。


こちらは夜のサイアム・パラゴンの写真です。

写真はラマ3世通りの夜の陸橋交差点の景色

送電に関して言うと一時的にすべてEGATへ集めて、それからPEA(Province Electricity Authority 地方配電公社)タイの地方へ配電MEA(Metropolitan Electricity Authority 首都圏配電公社)バンコク&隣接2県へ配電・供給しています。※SPPは工業団地内の企業であれば電力販売をすることが可能になるために各工業団地経営企業では子会社に発電会社を作り、収入を上げることが主流になっています。

二つの配電企業は上場予定候補の企業でしたが、現在はいつ上場するなどの詳細は未定になっています。

今回はタイのエネルギーは天然ガスに依存しているものの、原油は海外依存度が高く、原子力・石炭火力とも反対運動が根強く残っていることを書かせていただきました。

こういうエネルギー対策の部分も今後のタイ経済を判断する上で重要なポイントになります。



早稲田大学商学部卒業。大学では日本とタイのFTAを研究する。その後勢い良く海外で働くことを決意して来タイ。英語、タイ語、中国語を駆使しながら富裕層へ高級車を販売する。3年ほど前からタイの経済の発展を信じ、タイ株投資を始める。現在のブログ「アジア株(タイ株)海外投資ロングスティ」はタイ株関連ブログではナンバー1を誇る。
講師のブログは、こちら → アジア株「タイ株」海外投資ロングスティ