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−貯金が大切だということを、わかりやすくお話いただけますか?
そもそも、なぜ貯金が必要なのかと考えると、一番大きな理由は、老後のためのお金を用意するということです。私たちの世代は、かなり強い意志でお金を貯めておかないと、老後が大変なことになってしまうおそれが高いと考えています。もちろん、老後のためだけにお金を貯めているわけではない。近い夢の実現のためにも貯金は必要ですし、何かの備えのためにも必要です。
以前に、「会社とケンカしてもいいように貯金をしておけ」というコラムを書いたことがあります。3ヶ月生活できるだけの貯金があれば、社長とケンカして辞表を叩きつけても、腰をすえて転職活動もできますし、3ヶ月たてば、雇用保険がもらえます。自己都合で辞めた場合、失業給付はすぐでなくて、3ヶ月待たされるんですね。
でも、会社を辞めてもすぐには困らないだけの余裕があれば、仕事にプライドを持って働くことができるんです。月20万円と考えて3か月分、たった60万円持っているだけで、働き方まで違ってきます。
50〜60万円のお金は他にも人生をラクにしてくれます。例えば妊娠・出産までにかかる費用は50万円だそうです。つまりいきなりできちゃった結婚という事態になったとしても50万円あれば焦る必要がありません。
お金の有無で、人生が楽になることがあるんですね。特に、若い方はそういうピンチが多いと思います。ピンチになってからお金を貯めても間に合わないですから、貯金が大切になってくるんです。
−若い方を見ていてお感じになることがありますか?
貯金をしていくというのは、今の若い方に欠けている視点のように感じます。自分もかつてはそうでしたからよく分かります。簡単に消費者金融を利用できることもあって、気が付くと貯金どころか借金に追われる生活を送っているような方が多い。そういう若い方達を見ていると、貯金が必要であることを学ぶ重要性を感じます。
30年前位の世代の方は、当たり前のように貯金しなければならないということを教えられてきた世代だと思います。会社に入ると、上司から「財形に入れ」と言われる。よくわからないけど、新入社員は収入の1割位を財形貯蓄で積み立てます。当時は金利も高かったので、10年位すると元本の倍くらまで増えているというわけです。結果として、結婚するときの資金や、家を買うときの頭金が自動的に育っていたんです。今のように、分割払いや消費者金融が発達していなかったということもあるとは思いますが。無意識的にでも貯金できていたということが大きかったのです。
今は、分割払いもできますし、すぐにお金を借りることもできるので、貯金をする必要性を感じないのでしょう。ちょっとしたお金だったらすぐにATMで借りられますからね。今の若い方は、少し意識して、まず貯金する体質を作る必要があると思います。貯金をしておくということが重要だし、もっと大切なことは、増やし続けるということです。手取りの5%でも1割でもいいので貯金していくのです。2割貯められれば、かなり優秀です。数年たてば、人生は大きく変わると思います。
ところで、貯金の話をしてきましたが、実際には、残高を0にする、つまりマイナスがない状態に戻すというのが大変な場合が多いですね。クレジットカードや分割払いを使って、マイナスになっている人は、マイナスから脱出するのが第1ステップです。会社員だったら、次のボーナスは何にも使わないで、返済にあてることです。
買い物はぐっと我慢してほしい。パートやアルバイトだと、毎月の給料からしか返せないので、返済に時間がかかるのですが、ボーナスの力があれば一気に返すことも可能です。ボーナスがあるということは、貯金を増やすにも借金を返済するにも大きいですね。これを活かしてほしい。
−これから貯金を始めようという方に、お勧めの方法があれば教えてください。
マイナスがなくなって、0の状態に持っていければ、その後は自動積み立てで貯金するに限ります。給料日の翌日あたりで自動的に引き落とすのが効果的です。例えば、給料日が25日で、24日までに残っていたら貯金しようと思っても、うまくいきません。なぜなら、20日頃に残高を見て、「まだ余裕があるから、今週飲みに行っても大丈夫」というような調節をして、24日には残高を1000円以下にやりくりしてしまうものだからです。
これは人間の心理に反していますから、絶対に貯まらないのです。それよりは、給料日の翌日の26日に引き落としで貯金してしまうほうがいい。そうすると、残ったお金を4週間で割り算して、何とかしていこうと考えます。合理的ではありませんが、なぜかうまくいきます。行動心理学的に見ても、先に貯金するのがかなり効果的なのです。
今まで貯金をしてこなかった人は、毎月5千円でも1万円でもいいので、とにかく貯めていくことです。そしてがんばって使わないこと。そうすると、半年、1年とたつうちに、まとまった金額になってきます。10万円、50万円、100万円といった区切りの金額にまで貯まってくると自信がつきますし、不思議と崩したくなくなります。貯金できない人はできないのではなくてやらないだけなんです。一度始めることができれば、続けられる可能性は高いと思います。
合理的でなくてもお金が残ればしめたものです。たとえばATMで預金を引き出すとき、普通は万単位で引き出すと思います。これを8掛け、7掛けで下ろしてみてください。2万円引き出そうと思ったら1万6千円にしておくといった具合です。1回引き出した分を使い切るまでの時間というのは、引き出した額が違っても、案外変わらなかったりするもので、1ヶ月間やると、数千円残ったりします。
つまり、数千円の節約に成功したということです。全然合理的ではないのですが、意外と効果があります。単純に考えれば、月末には2割残る計算になります。実際にはそう上手くはいきませんが、1割位は残るかもしれません。4千円でも5千円でも残れば儲けものです。
また、貯金はあえて口座を分けて管理したほうが、使わない可能性が高くなるのでいいと思います。日常の口座であるメインバンクと、貯金専用口座としてのネットバンクを併用するといいでしょう。ネット専業の銀行はやや金利が高く少し敷居の高いことが二重のメリットです。おろすのが面倒だと思えば、お金が残る可能性が高まってきます。合理的に考えれば、口座をまとめておいた方が効率いいのでしょうが、合理的にやって貯まらないより、非合理的にやって貯まるのほうがいいはずです。
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