さわかみ投信株式会社 澤上篤人
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まず、「運用」とは、「結果」の世界です。ですから、「運用」を一言でいうと「お金を増やすこと」です。増やすことが前提なのです。 個人が運用に注目する契機の1つとして、年金問題が挙げられますね。みなさん感じていることは、年金が当てにならなくなったら、生涯の生活資金を自分で用意、もしくは運用によって得なければならないということでしょう。 若い方であれば50年の運用、定年後の方でも20年、30年近くの運用が必須となります。ですから、私は、中期ではなく、長期での運用必要になると考えています。 では、その長期運用にとって、必要な考え方というのはどのようなものでしょうか? 大切なことは、「長期投資は自分が死ぬまで運用する」ことです。ですから、「長期投資」の方向性というのは、「やたらめったら勉強しなくてもいい。難しく考える必要は無い。ただし、『やること』をやらなくてはいけないよ」ということです。 難しく考える必要はない理由。それをこれからご説明いたします。 一番最初に考えるのは、「我々、長期投資家は、相場、業績、投資の理論やテクニックを全て無視する」ということです。 なぜ無視するのか。この理由は簡単で、相場は買う人が多ければ上がる。売る人が多ければ下がります。どんなに景気がよくても、売る人が多ければ相場は下がるんです。30年、40年の運用を考えたときに、変動の激しい短期の相場を追い続けると誰しもが、疲れきってしまうわけです。であれば、「最初から相場を無視してしまう」。 |
投資の理論やテクニックもたくさんあります。もし、これぞ決定版という理論があれば、みなさんすぐにそれを実践するのが良いでしょう。ただ、そんなものが存在していたのなら、世界中の投資家がすでに大金持ちになっているはずです。残念ですが、大金持ちというのはそれほど生まれていない。決定版となる投資の理論・テクニックは存在しないのですね。もちろん1~2年間、有効な理論と言うのは存在し得ます。しかし、永久に妥当性を持つ理論と言うのは、「市場」にはありえません。 「市場」と言うのは、ありとあらゆる価値観、利害関係、知恵がぶつかり合う場所です。ですから、色々な手法が尽きることなく出てくる。長期での投資を考えると、理論を追い続けることも得策ではないということになります。 では、長期投資家は何を考え、行動しているのか。 我々は景気の大きなうねりに対して、不景気のときに、ありったけのお金を持ってきて株を買う。そして、景気が良くなって来たら、現金化していく。また、景気が悪くなったら、その現金でドンと株を買う。こういった行動を繰り返します。それだけです。 これだけでは、よく分からないかもしれませんが、この運用法は、経済や社会に非常に大きな役割を果たします。バブルのときを思い出してみてください。みな土地や株を買いに買って、ひっくり返った。高値掴みしてしまったから、売ろうとするが誰も買わない。それでも無理して売ろうとする。 この連鎖で経済は、大変に縮小し、地価や株価は下がる一方でした。こうしてデフレ現象が進行し、「不況の長期化」が起こりました。不良債権問題、ゼロ金利政策、皆こうした流れの中で出てきたことですね。 この結果、昨年、日銀総裁が発表したように、「ゼロ金利」政策によって家計が失った所得が11年間で304兆円になったんです。年間にしたら28兆円くらいの利子所得の損失です。皆が不幸になった要因は、ひとえに「売りたい人に対して、買いたい人がいなかったから」です。 日本は、バルブの前も、後も、そして今も、世界最大の債権国であるのは間違いないですね。例えば、個人の金融資産1540兆円と言われていますが、その中で預貯金など眠った資金が、780兆円あるわけです。780兆円に対して、人口1億2700万人。アメリカは、3億人に対して預金500兆円くらいです。これらの資金が眠ったことによって、日本では、バブル崩壊後13年も低迷したわけです。 対して、不況期に株を買うことは、民間版の景気対策になります。株を売った資金を手にした人たちが、食事をしたり、工場を建てたりと、経済の回転を促進することになるからです。 ( 「ファイナンシャルアカデミー 投資フェスティバル2007」でご講演頂いた内容をベースとしております。) |
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| 1973年ジュネーブ大学付属国際問題研究所・国際経済学修士課程。スイス・キャピタル・インターナショナル社アナリスト兼ファンドアドバイザー、スイス・ピクテ銀行・日本代表として活躍される。1986年にピクテ・ジャパン株式会社・代表取締役社長を経て、1996年さわかみ投資顧問株式会社設立。1999年さわかみ投信株式会社に社名変更、日本で初めて独立系ファンドの運用を始める。 |
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