経済ジャーナリスト 荻原博子

投稿者:ファイナンシャルマガジン編集部  2008年01月10日 インタビュー | 著者

 
 
―これまでのご経歴の中で、お金に関して、ご自身が興味を持たれたことや、お金について学ぶ必要性を感じられたエピソードについてお話いただけますか。

荻原:まずは、ジャーナリストとして経済に興味を持っています。この仕組みは一体どうなっているのか、今論じられていることが本当に真実なのか、という点に関心を持っています。 

例えば過去に『シティバンクに気をつけろ!』という本を出版したのですが、その際は、当時誰もが行列を作って並んでいたシティバンクとは、そんなに良い会社なのか、という関心がベースにありました。 

導き出された結論は、シティバンクは、結局皆を騙しているというものでした。騙しの手口というのが非常に巧妙で、例えば、2%キャンペーンを実施した際、多くの人が飛びつきましたが、その実を他の銀行との比較をしてみると、シティだけが2%以上低いということがありました。良いとか悪いとかではなく、これは、今の世界金融が狡猾になっているということなんです。 

しかし、ほとんどの日本人に狡猾さはない。だから、負けてしまうんです。こうした理由から、私は一貫して、仕組みをきちんと認識せずに、投資や儲け話に手を出さないほうがいいと言い続けてきました。結局誰が一番儲かっているのかといえば、仕掛ける側です。 

―つまり、これからの人たちは、難しいからいいやではなく、お金について、学ばなければ損をしてしまう、ということでしょうか? 

荻原:皆さん、学ぼうとか言いながら、自社商品の購入が目的となる金融機関主催のセミナーにしか行きませんよね。「生涯安泰です」と言われて、自分が理解できていない商品を購入して、結局損をしてしまう。 

そんなことをするぐらいだったら、きちんと貯金をし、絶対に変なことをしないと決めた方が良いですよね。本当に投資に興味を持つのならば、商品の売買がベースとなるセミナーに行くのではなく、お金に関する自分の常識を磨かなくてはいけないんです。 

一番大切なのは常識なんですね。皆さんが一番いけないのは、まず専門家に相談しようとすることです。保険の例がよく出されますが、相談員=販売員なのですから、購入に結びつくに決まっています。自分にとって何が必要なのか。常に自分を基本に考えるべきなんです。 

生命保険と言っても、男性の平均寿命は82歳。確率の低い死に対処するよりも、ちゃんと貯金して、生存リスクに備えた方が効率的なお金の使い方ができます。老後は、お金がない本当に大変です。 

またこう言うと、すぐに個人年金を思い浮かべる方もいますが、手数料が非常に高い変額個人年金に入ったとしても、おそらくお金は増えていきません。みなさん、仕組みが分からないから入ってしまうのですね。私は、個人年金には入るべきではないと言っています。今の時代は、年金よりも現金です。 

-多くの方が現金の使い方に苦しんでいるようですが? 

現金の使い方も重要ですね。世界中大騒ぎになっているサブプライムですが、日本にも過剰に借り入れをする人が山のようにいます。住宅が欲しいと言う場合には、せめて2~3割の頭金が必要だと思います。何かあった際にカバーできるだけの資金を持たずに、住宅を 買うなんてバカなことはしない。それから、自分の分相応ということをきちんと考えなくてはいけません。 

まして、2010年、15年ぐらいになると、築30年を過ぎるマンションが100万戸突破していきます。この時期になれば、マンションの事故がやたらに起きることが想定されます。このときになって、マンションは大型冷蔵庫と同じ、耐久消費財だったということに気づいても取り返しはつきません。 

耐久消費財というのは、どんどんものが良くなって、どんどん安くなっていくというのが常識です。だから、その基礎的なことがわかっていれば、そんなに不安にならなくてすみます。下がることが予期されているものには、慎重な判断が必要となります。 

そこまで考えられないという方は、お金のことを何も知らなくてもいいから、お金の勉強をする前にまず借金返すことです。貯まったら返すの繰り返しを続けていけば、借金がなくなっていれば、あとはプラスの生活になっていくわけです。 

人生、50歳でプラスマイナスゼロになっていれば安泰です。50歳の時に貯まっているお金と借金と比べてみたらプラスマイナスゼロになっていれば、自宅の返済済みですから家賃を払わなくてもすみます。子供も社会人になっているでしょう。 

夫婦2人で借金なく暮らしていくのであれば、300万円、400万円できちんと暮らしていけます。加えて、50歳から60歳までの間の収入で年間200万円貯金できれば、それだけで10年間で60までに2,000万円キャッシュできるのです。貯まった時点で、年金に入ろうか、株を買おうか、考えればいいと私は思っています。 

-判断できる資金と能力を身につけた人が投資可能であると言うことでしょうか? 

ここでも、やはり人の言うがままになってはいけません。自分で考え、理解し、納得したことだけをやるべきです。また無条件でも入れますなんていう保険には、大変なリスクが潜んでいます。とんでもないことを宣伝する会社が多いですが、こういうものに引っ掛からない人が結局お金持ちになれるということです。お金を失わない人がお金持ちというのが私の持論です。 

私は、狼に変身した銀行という言い方をしますが、銀行も郵便局も変身しています。皆さんだけがよく気がついてない。どこもかしこも、あなたのお金を狙っていると。そう思うくらいでいいと思います。 

いろんなことを勉強するのはいいですよね。勉強してわかったら、わかった分だけやればいいのです。ただ分からないものは、絶対にやらないという姿勢をぜひ身につけていただければと思います。 

またアドバイスを聞くのもいいかと思いますが、大事なことは色々な人の意見を聞くと言うことです。皆さん、マンション買いたいと言えば、A不動産屋に聞き、B不動産屋に聞き、C不動産に聞きに行きますね。それでは、全員が全員「買え」と言うに決まっています。ですから、立場の違う人に聞くことが必要です。 

-本日はありがとうございました。

 

1954年、長野県生まれ。経済事務所勤務後、1982年にフリーのジャーナリストとして独立し、難しい経済と複雑なお金の仕組みをわかりやすく解説。地価下落、マンション価格の下落を早くから予測。掛け捨て生命保険の活用を提唱。投資よりもローンの返済が必要と説くなど、時代の一歩先を行く分析力に定評あり。
著書に「生命保険の原価」(ダイヤモンド社)、「職人を泣かせて建てた300年住める家」(角川書店)、「あなたのローンをゼロにする本」(ダイヤモンド社)、「あなたのお金防衛術」(小学館)

 

トラックバック

この記事のトラックバック URL
http://www.f-mag.jp/archives/1202/trackback
トラックバックの送信元リスト
経済ジャーナリスト 荻原博子 - ファイナンシャルマガジン より

大人のお金の教養

more

最新記事

more

カテゴリー

バックナンバー

  • 株式会社東レ経営研究所 佐々木常夫
  • 小僧com株式会社 平松庚三
  • 株式会社GABA 青野仲達
  • 株式会社スタートトゥデイ 前澤友作
  • 幸せなお金持ちとは?- 中谷彰宏
  • 経済ジャーナリスト 荻原博子
  • 吉越事務所 吉越浩一郎
  • SBIホールディングス株式会社 北尾吉孝
  • 「いる社員、いらない社員」 小笹芳央
  • 株式会社武蔵野 小山昇
  • 株式会社マチュアライフ研究所 渋井真帆
  • さわかみ投信株式会社 澤上篤人
  • 「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」 山田真哉
  • 株式会社マネックスユニバーシティ 内藤忍
  • 竹田製菓会長、投資家 竹田和平

ニュースリリース

    リリース提供元