- 2011年12月27日 6:47 PM
- コラム
皆様お世話になっております。藤井 理(ただし)です。
今年はこれが最後のレターとなります。
本年はお世話になりました。
今年はなんといっても3月11日の震災。
この地震はその後の社債市場に大変な影響を与えることになりました。
電力会社は定期的に社債を発行し、市場から資金を調達しています。
電力会社は公共性が高いため借入金は多いものの、業績が安定しているため、
格付け会社から高い格付けを取得していました。
その常識が覆されました。
東京電力の場合、3月11日以前はR&I(格付け会社名)から
AA+という上から2番目に高い評価でした。
しかし、原発事故以来、格付けは下落し、
12月24日時点で、BBB (トリプルB)まで下がってしまいました。
海外の格付け機関では投資不適格のBという水準まで
格付けを下げたものもあります。
東京電力の社債の信用力は、測る物差しとして、
同じ期間の国債との金利差を用います。
5年債の場合、原発事故以前は国利回りに0.1%程度高い
水準で推移していましたが、それ以後は急速に拡大して
現在では8.4%まで拡大しています。
事故によって格付けが下がったことや、
今後、東電(電力会社)の不安が要因です。
電力会社は大量の資金が必要なために、
定期的に社債を発行していましたが、
電発事故以降社債の発行がストップ。
必要資金は銀行借り入れ中心となりました。
というのも、
原子力発電所を保有していない電力会社は沖縄電力だけ。
東電のあおりを受けすべての電力会社について借入コストが上昇。
仮に、市場でフェアとされている上乗せ金利を
投資家に提示したところで投資家の購入は期待できず。
かえってスプレッドの拡大に繋がりかねません。
12月22日現在の日本証券業協会の売買参考統計を基に
関西電力の5年債のスプレッドを求めると国債金利+0.4%程度。
関西電力についても事故前は0.1%程度でした。
社債市場の柱の一本であった電力債の起債が止まってしまったため、
投資家は運用難に頭を悩ませています。
電力債に変わり一般会社の社債が大量に発行されていますが
電力債の穴を埋めることができません。
投資家は需給バランスの崩れから
厳しい条件でも社債を購入せざるをえません。
原発事故が社債市場に与えている影響は測り知れません。
来年も宜しくお願いいたします。
藤井 理
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